調律きまぐれ日記 vol.2
~めまい~
ある日。
毎年調律にお伺いしているお客様宅へ調律に行きました。
いつものように調律の作業を何事もなく進めていたのですが
いつもと一つ、違う事がありました。それは、いつもは奥様
だけが居られるお宅なのですが、その日は旦那様も一緒に私
が作業している横のこたつでくつろいでおられたのです。
でも、何も気にせず、いつものように、特に変った事もなく
ごくあたりまえのように、調律の作業を進めておりました。
そのときです
「ブーッ!」と、音がしたのです。
えっ!
ピアノの音に耳を澄ましていた私の頭の中には、「もしかし
てオナラ?」と、いう考えがめぐりました。
でも、笑っていいものか、知らない振りをするべきか、いっ
たいどうしよう・・・さて、ここはひとつ
「聞こえなかった事にしよう」そう、思った時です
奥さんが、「もう最低ー! あなたのは・・・」と、言って違
う部屋に逃げる様に移動されたのです。当然の如く旦那様も
「なぜ?」
答えは、すぐに出ました
耳を澄ましていた私の、もう一つの器官を、強烈な刺激が、
いや、強烈な刺激臭が・・・
初めてでした、あれほどの物は。いままで経験した事がない
におい、逃げ場のないニオイ、恐怖、とまどい、ガーーーン
めまいがしました。
ずるいよ、私を残して逃げるなんて。せめて一緒に・・・
でも、本当に旦那さんのだったのだろうか?