ある日 いつもの様に調律にお伺いしたときの事です。 お客様の家に着いてびっくりしました。 四人の大工さんがトンカン、トンカン作業中なのです。 あれ、大丈夫かなぁー 心配しながら、チャイムを押すと、奥さんがでて来られました。 私 「今日は調律にお伺いしてよかったのですか?」 奥さん「大丈夫、大工さんには頼んであるので、調律中は音が出ない様に してもらいますから、どうぞ入ってください。」 よかった。 では、お邪魔します。 大工さんは、玄関を入ったすぐの部屋を改築中で、作業に夢中でした。 私は、その中を通り、隣の部屋にあるピアノに向かいました。 約束の通り、調律の作業中はとても静かで、スムーズに作業を終える事ができました。 そのあと、お茶をいただきながら、奥さまとお話をして、そろそろ、帰る時のことです。 私が、お茶菓子を食べていなかったので、奥さんが、「今つつむので、持って帰ってね」と、 つつむ紙を探されだしたので 私は、「失礼ですが、ポッケに要れますので、このままで結構です。」と、言うと 奥さん 「ごめんね、このままでいい? はだかでごめんね。」 私 「いえいえ、こちらこそ、そのまま持って帰って失礼します。」 奥さん 「いいの?ほんとに、はだかでごめんネ、はだかでごめんネ・・・ 悪いねぇー、はだかで・・・」 なんか変だ。 そう思いながら、私がドアを開けた時です。 玄関に居た、四人の大工さんが集まって、全員こちらを凝視していました。 手を止めて、目をまるまるとさせて・・・ そりゃそうですね。 ドア一枚、隣の部屋から「裸でごめんね。裸でごめんね。」と、奥様の声が何度も聞こえて 来るのですから、誰でも、見たくなりますよね。 しかし、大工仕事をしながら、隣の声を聞き取れるのは、とても、良い耳です。